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チェンバロ好き!

チェンバロと私の生活の一部を切り取ったブログです

チェンバロ伴奏曲集

チェンバロの楽曲

チェンバロ伴奏曲集

バロック声楽曲チェンバロ伴奏集 (初中級者向け学習教材)

 

【チェンバロ伴奏音源が珍しい理由】

【ピアノ伴奏とチェンバロ伴奏の違いとは】

【チェンバロ伴奏音源の存在意義】

 

1.【チェンバロ伴奏音源が珍しい理由】

声楽のためのピアノによる伴奏の録音源は、声楽家がピアニストと合わせる前に自習するために利用するもので比較的多く出回っている。

しかしながらチェンバロによる声楽及び器楽の伴奏の録音というのは、殆ど見かけない。

その理由はなんであろうか。

それを考えるには、レチタティーヴォの存在を無視できない。

バロック歌唱には、レチタティーヴォという言葉に音程を付ける朗唱から発展した歌唱があり、それはある程度即興的性格を帯びている。

レチタティーヴォにおいて声楽家は、書かれている「言葉」の内容に従って自由に歌う。

伴奏者は朗唱の瞬間瞬間において、発される「音」ではなく「言葉」に和音を落としていく。

しかし、録音された伴奏に合わせて歌うとなると、歌手の方が録音に合わせることになり、歌手の自発性と独立性が発揮できなくなってしまう。

録音が柔軟性を持たないゆえに、ソリストと伴奏の役割が逆転してしまうのだ。

特にソロ演奏の学習者が伴奏音源を使用する際にはこの事実をよく覚えておいてほしい。

 

一方、アリアにおいては、拍子や速度が一定の曲が多いので、録音された伴奏を使用することはレチタティーヴォよりは問題が少ないかもしれない。

しかしながら、曲の終わりに歌手が長いカデンツァ即興を挿入する場合、楽譜に書かれた通りの拍子を大幅にオーバーすることは、バロック音楽においては通常の奏法だ。

そこでも伴奏者は、演奏のまさにその瞬間において、演奏家と息を合わせて柔軟な伴奏することが求められ、これは録音においては到底不可能なことである。

バロック音楽におけるソロと伴奏の関係は、声楽だけではなく器楽にも同様に当てはまる。

 

 

2. 【ピアノ伴奏とチェンバロ伴奏の違いとは】

通奏低音による伴奏を、伴奏のみで録音するということは、チェンバロ奏者に対しても種々の問題を突きつける。

記事の続きはこの下

 

 

ピアノ伴奏においては、演奏すべきことは譜面に記されているので、ピアニストは譜面に書かれたとおりに精確に弾いて良しとすることができる。

それに対し通奏低音は、バス部しか書かれていないので、書かれたことだけを弾いて良しとすることが出来ない。

 

チェンバロ奏者は即興的に通奏低音を実行(レアリゼ-ション)するのであるが、実行するにあたっての選択肢は多数ある。

つまり、バス上の和音にどれだけの音を入れるのか、どのような配置の和音をどういうアルペジオで弾くのか、どのような装飾音をどこで入れるのか、等々は、もちろん予め概要の準備はするものの、その時に与えられた状況、特に楽器と、場所の音響、共演するアーティストの特徴によっても違ってくる。

 

一つ録音したからそれで済むというものではなく、多かれ少なかれ一回性の即興的演奏の要素を帯び、それゆえにバロック音楽の演奏はジャズの演奏に似ている、などと比較されることも少なくはない。

通奏低音と即興演奏の関係とは何か

 

3. 【チェンバロ伴奏音源の存在意義】

以上述べてきたような種々の問題にもかかわらず、このような伴奏音源を出版しようと思った動機は、チェンバロ伴奏は声楽学習者や器楽家がレパートリーを準備するのに役立ち、かつ必要なものであるのに、必要な時にどこでもすぐにチェンバロ伴奏者が見つかるとは限らないからである。

むしろ現実には、チェンバロやチェンバロ伴奏者は専門性が高く、ピアノほどメジャーではないので、なかなか見つかりにくい。

また、家庭での練習の際に、伴奏者に気兼ねなく通奏低音に合わせてみたい時もあるだろう。

特に初心者にとっては、正確な音価のバスに合わせて歌うことは、学習上、大変役に立つ。

 

バス部の実行にあたっては、無機的で味わいに欠ける単調な伴奏にならないように、イタリア古楽のスタイルをもった伴奏演奏を心がけた。

そのことによって、音楽が音符の羅列とは一線を画すものだということを幾らかでも示せたなら幸いである。

 

4.【結び】

筆者もまだまだ経験が浅いため、多くの先生方のご教示を必要とする身であることは重々承知である。

また通奏低音演奏は生きた演奏をする限り、演奏家の特徴が必ず出るので、これが唯一というものはそもそも存在しない。

間違ってもこの伴奏例を絶対視せず、むしろ、こういうふうに弾く人もいれば、こう弾く人もいるんだなというように、バロック音楽の演奏の多様性と豊かさの発見につながるような見方をして頂ければ幸いである。

 

バロック音楽の学習者がこの録音を有効活用して、自身の音楽活動に有益となるように使用されることを願っている。

 

www.italiaryoko.net